【オプション取引】SBGが米株コールオプション取得 オプションとは?株価への影響は?

2020年9月4日に日本の一大起業であるソフトバンクグループが、この数週間の米国株上昇相場で主にNASDAQ市場に属するハイテク銘柄 (アマゾン・ドットコム、ネットフリックス、テスラ、マイクロソフト、アルファベット)の株式約500億ドル分に相当するコールオプションを取得していたと報じられました。

これは何が起きたのでしょうか?そもそもオプションとは何か?という点から説明していきます。

オプション取引の仕組み

オプション取引を一言で表すと、

商品売買の予約

です。

つまりオプションとは、株式や債権などの特定の商品を「いくらで」「いつまでに」「買うor売ることができる権利」を取引することを表します。

買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションと呼称します。

基本的な用語

オプション取引で用いられる基本的な用語についてまとめます。

オプション料 (プレミアム)

事前に株の売買を予約出来るのは現物取引より圧倒的に有利ですよね。

しかしオプションの買い手は、権利を獲得するために権利料を売り手に支払う必要があります。

権利料金のことをオプション料(プレミアム)と表します。このオプション料は後に説明する原資産価格と権利行使価格の差額によって変動します。

原資産価格

原資産価格はオプション対象商品の価格を表します。

権利行使期間

権利行使期間とは、オプションが実行できる期間を表します。

権利行使できる最終日(満期日)までならいつでも権利行使できるオプションを「アメリカンオプション」、満期日のみ権利行使できるものを「ヨーロピアンオプション」と表します。

権利行使価格

権利行使価格は、原資産を買う権利or売る権利を行使する際の決められた売買価格を表し、取引開始前に決定します。

ボラティリティ

ボラティリティとは、原資産価格がある期間でどのくらい変動しているかを表す指標です。

オプション取引の各ポジション

オプション取引には「コールオプションの買い」「コールオプションの売り」「プットオプションの買い」「プットオプションの売り」の4つのポジションがあります。

それぞれのポジションにおける売買時の思考を整理してみましょう。

コールオプションの買い

コールオプションの買いはプレミアムを支払い、「原資産を権利行使価格で買う権利」を買います。具体的に以下の図の通り。

ある株を1000円の権利行使価格で買う権利を、プレミアム100円を支払って購入したと仮定します。その場合の損益は以下の通り。

① 株価が1500円まで上昇した場合

株の売却益は1500 – 1000 = 500円となります。ここからプレミアムの100円を差し引いて利益は400円です。

② 株価が500円まで下落した場合

株の売却損が500 – 1000 = -500円となってしまうので、“コールオプションの権利を放棄する”という方法を取ります。

権利を放棄しているため、損失額はプレミアムの100円のみとなります。

コールオプションの売り

コールオプションの売りはプレミアムを受け取り、「原資産を権利行使価格で買う権利」を売ります。具体的には以下の図の通り。

ある株を1000円の権利行使価格で買う権利を、プレミアム100円を受け取って売却したと仮定します。その場合の損益は以下の通り。

① 株価が500円まで下落した場合

コールオプション買いでの説明の通り、買い側は損失額の拡大を防ぐために権利を放棄します。よってプレミアムの100円が利益となります。

② 株価が1500円まで上昇した場合

1500円の株を権利行使価格である1000円で売却する必要があるため、売却損は1000 – 1500 = -500円となります。プレミアムで受け取った100円を差し引いて、損失は400円となります。

プットオプションの買い

プットオプションの買いはプレミアムを支払い、「原資産を権利行使価格で売る権利」を買います。具体的には以下の図の通り。

ある株を1000円の権利行使価格で売る権利を、プレミアム100円を支払って購入したと仮定します。その場合の損益は以下の通り。

① 株価が500円まで下落した場合

500円の株を権利行使価格1000円で売却できるため、売却益は1000 – 500 = 500円となります。プレミアムで支払った100円を差し引いて利益は400円です。

② 株価が1500円まで上昇した場合

株の売却損が1000 – 1500 = -500円となってしまうので、“プットオプションの権利を放棄する”方法を取ります。

損失はプレミアムで支払った100円のみとなります。

プットオプションの売り

プットオプションの売りはプレミアムを受け取り、「原資産を権利行使価格で売る権利」を売ります。具体的には以下の図の通り。

ある株を1000円の権利行使価格で売る権利を、プレミアム100円を受け取って売却したと仮定します。その場合の損益は以下の通り。

① 株価が1500円まで上昇した場合

プットオプション買いでの説明の通り、買い側は損失額の拡大を防ぐために権利を放棄します。よってプレミアムの100円が利益となります。

② 株価が500円まで下落した場合

500円の株を権利行使価格である1000円で買い取る必要があるため、購入時の損失は500 – 1000 = -500円となります。プレミアムで受け取った100円を差し引いて損失は400円となります。

ソフトバンクの米ハイテク株コールオプション買いの影響は?

オプションの内容を把握した所で、”SBGがこの数週間の米国株上昇局面でハイテク株に大量のコールオプション買い注文を出していた。”というニュースを検討してみましょう。

まずハイテクグロース株が多く上場しているNASDAQ のここ数週間の日足チャートを見てみましょう。

NASDAQはここ数ヶ月で続伸し、9/3, 9/4で大幅安という展開となっています。

要因の一つとして、SBGがここ数週間のコールオプション買いで成立した株式を利確する懸念から、株安を懸念して売りが売りを呼ぶ事態となっていることが考えられます。

今後の対策

9/3, 9/4の出来高は過去と比較してそこまで高くないことから、短期的にはハイテク株売りの流れは継続する可能性があります。よって短期のポジションは一旦利確するのが得策と考えられます。

一方、長期投資の目線では、今回の売りはあくまで一時的なものと捉えられますので、業績好調な銘柄の株価下落を見ても狼狽売りせずにホールドを意識しましょう。

まとめ

SBGの米株コールオプション取引のニュースから、「オプション」「直近のNASDAQ株価」「今後のポジション整理」について整理しました。

要点をまとめると以下の通り。

  • オプション取引とは手数料を介した株式売買の”予約”
  • SBGの莫大なコールオプション株式利確の懸念もありNASDAQ下落
  • 長期投資はホールド、短期投資はポジション調整

今回のような下落局面でも相場で生き残ることを意識して上手く立ち回りましょう。

それではまた次の記事で。

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