優良な株主優待、配当利回り4%超えの高配当に加えて、業績も好調な大手通信キャリアKDDIは投資家に人気な株の1つです。
一方で株価はこの2週間で10%強下落しておりかなり不調な状態。今回の記事では
- KDDI株価が不調となった経緯
- 株価はどこから割安なのか?
- KDDIへの今後の投資戦略は?
について具体的にまとめます!
4-6月決算は好調だった
KDDIの4-6月決算は7/31に発表されました。3ヶ月決算の推移を確認しましょう。以下の表を見てください。

コロナの影響もなんのその。売上高は前年同期比で0.3%微減したものの、営業益は13.7%増加しています。
株価も安泰かなと思わせる好決算です。
菅キャノンで株価続落
安倍首相が退任表明後の菅官房長官が
「携帯電話大手3社の料金は高すぎる」
「携帯料金は現状から4割は下げられる」
「売上営業利益率が20%もあるのは異常だ」
などと強気の発言したことから携帯大手各社の株価は急落しました。
また、9/14に菅新内閣が始動した後はさらに下落し続けていますね。

200日移動平均線も下を向いていることから、かなり強烈な下落トレンドであることがわかります。
今後、株価はどこまで下がるのでしょうか?
株価はどこから割安?
さて、ここで気になるのは“どこから割安なのか?”です。
簡単に推算してみましょう。
菅総裁がキャリアの料金に言及し、かなり攻めたラインとして通信料金が30%減少し、売上高が20%減少したケースを検討してみます。
株価 = EPS×PER
株価は1株あたりの利益 (Earnings Per Share)に株価収益率 (Price Earnings Ratio)を掛けることで求められます。
PER
KDDIはここ数年レンジ相場であり株価がほとんど変動していません。PERも新興企業のような莫大な数値ではなく平均で10前後を行き来しています。
そこで今回のPERには過去2年の平均値である11.1
を使用します。
EPS
EPSを求めるには売上総利益を発行株数で割る必要があります。売上が現状から20%減少した場合の売上総利益はいくらになるでしょうか?
2019年3月期の有価証券報告書から連結損益計算書を見てみましょう。
売上高は5,237,221百万円
、売上原価は2,925,000百万円
、売上総利益は2,312,221百万円
です。
売上高の減少から売上総利益を考慮する場合限界利益の考え方が必要となります。
売上高 = 営業利益 + 固定費 + 変動費
で表され
限界利益 = 営業利益 + 固定費 = 売上高 – 変動費
で表されます。例えば製造業では変動費に工場で働く現場の人の人件費などが含まれるのですが、KDDIは工場等有していないため、簡単のため売上原価をそのまま変動費と仮定します。
2019年度KDDIの限界利益 = 売上高 – 変動費と考えて
5,237,221 - 2,925,000 = 2,312,221百万円
限界利益÷売上高を限界利益率と言います。
2019年度KDDIの限界利益率は
2,312,221÷5,237,221 = 0.44
売上が20%減少したと仮定した場合、売上高は
5,237,221×(1-0.2) = 4,189,777百万円
よって売上が20%減少した場合の限界利益=売上高×限界利益率となり、
4,189,777×0.44 = 1,849,777百万円
固定費は変わりません。損益計算書の”販売費および一般管理費”の1,299,504円
を用いましょう。
売上が20%減少した場合の営業利益 = 限界利益 – 固定費ですから
1,849,777 - 1,299,504 = 550,273百万円
これを総発行株数4,200百万株で割るとEPSが出ます。
550,273÷4200 = 131円
ということで、”売上が20%減少した場合”の株価 = EPS×PERは
131×11.1 = 1454円
KDDIが何も策を講じない場合、この株価まで減少するリスクがありますが、あくまで皮算用です。
コスト削減やビジネスセグメントの強化、5Gプランの推進からそこまでの事態は回避できると思われますが、底はどこか?という目安には使えるのではないかと思われます。
今後の投資戦略は?
KDDIへの投資を検討する場合、
- 菅総裁の携帯値下げ案が本当に実現するのか?
- 実現した場合、その後の決算はどうか?
を確認する必要があります。現状KDDIの株価は落ちるナイフ状態ですので、割安だ!と飛びつかずに菅さんの発言を待っても良い局面だと考えられます。
ビジネスモデルは仕入れが発生しない以上強い企業ですので、決算で予想より利益を上げることも十分に考えられます。長期ホルダーは決算に着目していきましょう。
まとめ
この記事では「KDDI株価不調要因」「売上減少時の株価底値」「投資戦略」について具体的に整理しました。結論としては
短期ならば売却、超長期ならホールド、ノンポジなら今は触らない
です。虎視眈々と投資タイミングを見計らいましょう!
それではまた次の記事で。